礼義には一つ、智に聞いてみたい事があった。
 それは。
 “自分の第一印象”について。


≪第一印象≫


 付き合い始めて数ヶ月。
 相変わらず今日も彼女は可愛い。
 そんな事を思いながら、礼義は前々から聞いてみたいと思っていた事を聞く事にした。
「……ねぇ、智ちゃん」
「なぁに?」
 首を傾げるその仕草も可愛いなぁ、とか思いつつ、礼義は質問を口にする。
「あのさ、俺の第一印象って、どうだった?」
「第一印象?」
「そう。……ほら、初対面でいきなり告白したしさ。今更ながらにどうだったのかなって……」

 後になって思い出す程、本当にあの時は無謀だったなと思う。
 付き合えたのは幸運としか言いようがない。

「朱夏サン達がいなかったらって考えると、ちょっとゾッとする」
 すると智は苦笑して言う。
「本当にそうだよね。でも、第一印象かぁ……」
 そうして智は少し考える。
「うーん……あの時は、突然頭下げられてビックリしてる内に話が進んじゃったからなぁ……」
 強引に話を進めたのは朱夏なのだが。
 今ではそれもいい思い出だ。
「実は礼君の顔をちゃんと見たのって、付き合うのが決まった後なの」
「そうなの?」
「うん。でね?何か、人懐っこそうな人かなって」
「人懐っこそう?」
「えと、誰とでも仲良くなれそうっていうのかな……だからちょっとホッとしたの」

 実際に礼義は自分でも人当たりはいい方だと思う。
 だから何だかそう言ってもらえたのは嬉しかった。

「ほら、付き合うっていっても、まずはお互いの事を知らなくちゃダメでしょ?礼君が取っ付き難い人だったら、多分ダメだったと思うの」
「そっか。智ちゃんて兄弟が過保護だったから、異性に慣れてないんだっけ」
「うん。それに礼君、毎日弓道部に顔出してくれたし……礼君の笑顔がね?何か安心できたんだ」
「安心?」
「何ていうか……ほわって気分にさせるような、温かい笑顔だなって思って……」
 そう言いながら真っ赤になる智につられて、礼義も真っ赤になる。
「……何か、そう言ってもらえると嬉しい」
「……うん」
 そうして二人は顔を見合わせると、微笑み合った。


 第一印象が、後の人間関係を決める事もあるけど。
 人の印象は変わっていくものだから。
 大切なのは。
 その後の行動次第。


=Fin=