俺の名前は野上恭一。高校一年生。
特技:幽霊が見える事。
そのせいで今まで散々な目に遭ってきた。
が。
神様は俺を見捨てちゃいなかった!
何故なら、幽霊が見える、という特技(?)のお蔭で、メチャクチャ可愛い彼女が出来たのだから!
≪LOVE☆シークレット≫
彼女の名前は久我千春。
千春との最初の出会いは、彼女が幽霊だった時だ。
彼女は事故で意識不明の重態になって、幽体離脱して俺の目の前に現れた。
といってもそれ以前から千春は俺の事を好きで、通学の時も同じバスだったらしいが。
何で気付かなかったんだろうか……。
まぁとにかく、俺が幽霊見えなきゃ幽体離脱状態の彼女に気付く事も無かったのだから、この時ばかりはこの能力に感謝した。
彼女と付き合うようになって暫くして、俺はある事に気付いた。
それは。
「……なぁ千春?お前、もしかして……見えてるのか?」
デート中とかでも、いる所にはいる。
俺はなるべく見ないようにしているのだが。
いると感じる方向を千春が見ている事がよくある。
「えっと……幽霊、ですか?はい」
見えてるのかよ!
「あー……やっぱ、幽体離脱したからか?そのせいで霊感が強くなったのかもな」
「そうですね……以前は見えませんでしたから」
そういう千春は、なんだか嬉しそうな顔をしている。
「千春?何か嬉しそうだな」
あんなの見えても、いい事ないのに。
や、千春に逢えた事を除いて、だけど。
背筋が凍るは、悪寒が走るは、気持ち悪いのなんのって、そんな思いをしてまで見たいとは思わない。
だけど千春は。
「嬉しいです。だって、恭一さんが見ている世界を一緒に見る事が出来るから」
そう言ってはにかんだ千春は、物凄く可愛くて。
思わず抱き締めていた。
「恭一さんっ!?」
千春は真っ赤になって慌てるが、構わず抱き締め続ける。
「千春……ありがとう」
俺と同じ世界を一緒に見る事が出来るって事は。
誰よりも俺の事を理解してくれるって事だ。
昔は“幽霊が見える”と言うと、大抵はバカにされて変人扱いされるか、もしくは気味悪がられていた。
だから誰にも言わないようにしたし、見えないフリをした。
背筋が凍ろうが、悪寒が走ろうが、気持ち悪かろうが、他人がいる時は平気なフリをし続けた。
それは、何よりも苦痛だった。
だけど千春は。
そんな俺を全部受け止めてくれた。
千春自身はそう考えてはいないだろうケド。
俺の過去まで全部、救われた気がした。
「きょ…いち、さん?」
戸惑う彼女に、俺は満面の笑顔を向ける。
「千春」
「はい」
「幽霊が見える事、あんま他の奴に言うなよ?」
「どうしてですか?」
「俺達だけの秘密。共通の秘密持ってるって、トクベツな感じしない?」
他人には見ることの出来ない、俺達だけの世界の事は秘密にしよう?
=Fin=