≪質問タイム≫


 ある日のお昼休み。
「ねぇねぇ。年上の恋人ってどんな感じ?」
 突然桃花が咲と幸花にそう聞いた。

「どんな、って……」
「やっぱり、経験豊富だったりするの?」
「けっ……!?」
「ちょ、桃花!?いきなり何を……!」
 桃花のそのとんでもない質問に、咲も幸花も真っ赤になって慌てる。
「だって、やっぱり大人の人が恋人だと、なんか違う感じがするし」
「えと、でも、その……そうだ、幸花は一緒に暮らしてるんだよね。どうなの?」
 言葉に詰まった咲は、そう言って話を幸花に振る。
「え、咲ちゃんまで!?」
 話を振られた幸花は、咲に視線で訴えると、咲は手を合わせて謝る。
「えーっと……一緒にっていっても、保護者としてだし……うぅ……そうだ!私、桃花ちゃんが羨ましい」
「え、私?」
 まさか自分に話を振られるとは思っていなかった桃花は目を丸くする。
「うん、桃花ちゃんが羨ましい。だって、堂々と二人で外を歩けるでしょ?」
「あ、うん。それは、私もそう思う」
 幸花の意見に咲も同意する。
「ほら、私達は周りに内緒にしなきゃいけないでしょ?だから、桃花が羨ましい」
 羨ましい、と言われて桃花は何だか照れる。
「そう、かな。……私は逆に二人が羨ましかったんだけど。だって時々、まだ未成年っていうのが嫌になるもん」
「未成年が?」
「そう。だって二人で旅行とか行きたくても、反対されるでしょ」
「あー……」
「それは、そうかもね」
 頷く二人に、桃花はまたしても質問する。
「で、二人はもう恋人同士で旅行とかしたの?」
「……私は、ほら、車に乗れないからあんまり遠出できないし。咲ちゃんはどう?」
「え!?わー私はー、長い休みとかは実家に帰省とかしなきゃだし」
「……色々難しいんだね」
 そう言う桃花に、二人は思い切り頷く。
「何だかんだ言って、やっぱり難しいって。相手が大人っていっても、自分はまだ子供なワケだしっ」
「そうそう!だからそんなに変わらないって!」
「そっかー……」
 残念そうにそう言う桃花に、咲も幸花もホッと胸を撫で下ろした。


 本当に桃花は時々とんでもない事を口にする、と再認識しながら。


=Fin=


実際の所、咲と幸花はどこまで進んでるんでしょう?


花咲 桃花(はなさき とうか)……月羽矢学園高等部一年。「気付いて。」に登場。

生田 咲(いくた さく)……月羽矢学園高等部一年。「シークレット・スペース」に登場。

向井 幸花(むかい さちか)……月羽矢学園高等部一年。「reliance」に登場。