「皆……っ!」
神無達だけではなく守護精達も、どこか悲しげな表情だった。
��ラティス。我が水の加護を受けし者。水の恩恵と、脅威を知る者よ……��
「ウォーティス……」
水の守護精ウォーティスは、真っ直ぐラティスを見つめる。
��……よく過去を乗り切った。我の姿なくとも、我は水の在る所、全てに存在する。清らかなる水の加護、忘れるな……��
そう言うとウォーティスは、水が弾けるように姿を消した。
「ウォーティス!ありがとう……」
��マリノス!我が火の加護を受けし者。恐れず敵に立ち向かう者よ!��
「ファイアスティ」
火の守護精ファイアスティは、熱い眼差しを向ける。
��恐れるな、立ち向かえ。激しき炎、火の加護は汝の情熱に答えるだろう!��
そう言ってファイアスティは、火の粉が飛び散るように姿を消す。
「……ああ。俺は何事にも恐れないよ、ファイアスティ」
��リム。我の雷の加護、受けし者、雷を、操りし者よ��
「……ヴォルティック」
相変わらずまともな形を成さないまま、ヴォルティックは話す。
��己を取り戻したか。だが、姿はまだ偽り。冴え渡る雷の加護。雷の持つ意味と共に……��
ヴォルティックは一瞬スパークし、その姿を消した。
「雷の意味は厳しさ……承知致しましたわ、ヴォルティック……」
��神無、風の加護を受けし者、心地よい気を発する者よ……��
「ウィンディア……ごめんなさい……っ」
俯く神無を、ウィンディアはその翼で包み込む。
��よいのです、神無。風は一ヶ所には留まらぬモノ。吹き抜ける風の加護は、いつでも傍に在る事を、貴女ならきっと感じるハズです��
ウィンディアは全員を見渡し、そして風が四散するように姿を消した。
「今まで翼になってくれてありがとう、ウィンディア……」
��フォリシス。わしの大地の加護を受けし者、心優しき者よ��
「……心優しき者、ですか?アーサム」
��……お前さん、何故わしが選んだか分かっておらんかったのか?……まぁよいかのぅ。何といっても、大らかな大地の加護だからの。
大地のように大らかに構える事を、心に留めておけばよいて��
そう言って笑って、アーサムは大地に還るかのように姿を消した。
「忘れません、アーサム。貴方の教えを……」
それぞれの守護精達が別れを告げ、姿を消すと、ライトーンとダークネストが話し出す。
��我ら、光と��
��闇の加護を受けし者達��
��我らが試練を受けし者達��
��そして我らに認められし者達よ��
「ライトーン……ダークネスト……」
二人はそれぞれ、全員を見回した。
��悲しむ事はない��
��我らは自然へと還るのみ��
��光はいつでも主らを照らす��
��闇はいつでも主らに安らぎを与える��
��我らは常に��
��主らと共に��
��そして託そう��
��未来を��
ライトーンは光、ダークネストは闇に、それぞれ溶け込むように姿を消す。
最後に、神無を見つめて。
「……ライトーン、ダークネスト……使命は、必ず」
そう呟き、静かに涙を流す神無の肩に、ラティスはそっと手を置く。
「……ラティス……」
悲しんでいる暇はない。未だ止まらぬ紅珠の暴走を何とかする方が先だ。
「……守護精達の為にも……朱珠よ、今こそその本来の力を発揮せよ!」
神無が朱珠を掲げると、朱珠は輝きを増し、光を放つ。
その光を受け、紅珠は元の珠の形に戻った。
暴走は止まったのだ。
「……やった……」
だが暫くは皆、複雑な思いだった。
神無はラティスの胸元に顔を埋め、ラティスはその肩を優しく抱く。
マリノスはやり場のない悲しみに顔を歪ませ、リムは沈痛な面持ちだ。
フォリシスは、嗚咽を堪えて泣いていた。
それでも。
長かった旅に今、終止符が打たれた事は確かだ。
戦いは、終わったのだから。