≪コンプレックス≫


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 モデルを目指すには少し低いし、男の子からは敬遠される微妙な身長。
 それが私、絹川朱夏(きぬかわ しゅか)のコンプレックス。
 どんなに女の子らしく料理やお菓子作りが出来たって、男はまず見た目で判断するんだから!
 ズバリ!『背の高い女と付き合うと、自分の背が低く見える』という理由。
 それに私の場合、性格が兄の影響か、少ーし勝気というか何と言うか……。
 せめて背以外の所で、女の子らしく髪を伸ばしてみても、効果ナシ。だからもう短くしちゃったけど。
 だからね?その、なんて言うか、私が言いたいのはつまり……。

 はい。ぶっちゃけて言います。
 恋愛したいです!彼氏欲しいです!

 だって最近、親友の智と璃琉羽(りるは)に彼氏が出来ちゃって、二人とも付き合い悪いんだもんーっ!
 いや、私がそうなるように仕向けたというか、その手伝いをしたから自業自得なんだけどねっ!
 二人が幸せなのは私も嬉しいし。
 それは置いといて。

 私はよく部活の弓道の大会とかで皆に手作りお菓子を振舞う。
 狭い道場だと一、二チームぐらいずつしか出来ないし、広い道場でやる場合は、その分大会の規模も大きいから、結局出番までは退屈だったりする。
 練習できない所の方が多いしね。
 そこで退屈凌ぎとリラックスを兼ねた、私のお菓子の出番。女子限定。
 一度男子にも作った事あるけど、怪訝そうに『お前が作ったの?』って、いかにも食えるの?みたいな感じで言うから、頭にきて食べさせた事はない。
 ちなみに見た目は至って普通よ?女の子達は「おいしそー」って言いながら、喜んで食べるてくれるもの。
 で、その時に必ず言われる言葉。

「こんなにお菓子上手に作れるんだから、絶対もてるよ!」

 ……フッ。
 甘いわね。
 私の場合、それ以前に食べて貰う機会すらないのよ!

 あーあ。私、思うのよね。
 絶対背が低い方が、女の子は得だって。
 だって、それだけで男は護ってあげたくなっちゃうんだもん。