雨が強くなって来た。
先程から雷鳴が鳴り響き、闇の中でその光が煌いている。
王は窓辺に佇み暗雲に覆われた空を見上げる。
――不吉な予感がする。
そう思った時だった。
部屋の扉が荒々しく開かれ、一人の兵士が駆け込んで来る。
「ご……ご報告申し上げます!先程、無事お産まれになりました!」
その言葉に王は、足早に王妃の部屋へと向かう。
「で、ですが、その…」
報告に来た兵士は王の後に付き従い、まだ何かを言おうとし、口籠った。その様子に王は苛立つ。
「言いたい事があるならさっさと言わんか!」
そう言いながら王妃の部屋の前に来た王は、その扉を荒々しく開く。
そこで王が見たもの。
「……銀の髪と紅き眼を持つ、異形の者です……」
――雷が一際大きく轟いた。何処か近くに落ちたのかもしれない。
音に驚いたのか、産まれた赤ん坊の泣き叫ぶ声だけが部屋に響く。
リアス国第一子、ロザリオ姫誕生の日だった――。