世界は、とても狭くて。
とても暗いものなのだと。
そう思っていた。
幼い頃の私には、暗く、狭い部屋が、世界の全てであり。
また、それを当たり前なのだと思っていた。
そんなある日。
暗く、狭い部屋の扉は開かれ。
私は“外の世界”を知った。
“外の世界”は、広く、光に満ち溢れていた。
外に出てからは生活が一変した。
知識、教養、剣術を叩き込まれる日々。
最初は、楽しかった。
真綿が水を吸収するかのように。
次々と新しい事柄に触れる。
だが。
知識が増える程に、私は真実を知った。
何故、私があんなにも暗く、狭い部屋に閉じ込められていたのか。
どうして今、こんなにも色々と教え込まれているのか。
そうして、周囲がどんな目で私を見ているのか。
全ての答えは一つ。
私が、異形だから。
この世界に、太古の昔より語り継がれて来た伝承。
紅き眼と、銀の髪を持つ、悪魔の話。
それ故、古より赤い眼と、銀の髪を持つ者は異形と呼ばれ、人々より不吉の象徴とされてきた。
その象徴たる、赤い眼と、銀の髪を持って、私は生まれてきた。