「……で?結局どうするの?これから」

 次の日にその一部始終を聞いた朱夏は智にそう聞く。
「どうするって……結局今までと状況は変わらない訳でしょ?忠だって、あからさまな邪魔はしなくなったけど……」
「時々、部活中とかに礼君にちょっかい掛けてるしね」
 璃琉羽の言葉に、智は困ったような表情で頷いた。

「あーもうっ。やっぱり、そう簡単には上手くいかないモンねー。礼君の苦難はまだまだ続く――ってトコかしら?」
「礼君の事が絡まなければ、二人共、本当に優しいんだけど……」
「……それは智に対してだけだと思うわよ?」
「智ちゃんよりも大事に想える人が、二人に現れてくれたらいいのにね」
「うん……」
 そうして三人は溜息を吐いた。



 礼義の目下最大の障害は、愛しい彼女のお兄さん。
 そこに時々、弟君も加わって。
 邪魔される日々が礼義の苦難。


 ――それは一生、続くかもしれない。


=Fin=