それは、一学期も終了間近に迫った、ある日の事だった。
≪三者面談≫
side:RYUYA
「三者面談?あーそうか……もうそんな時期か」
朝の職員会議で伝えられた連絡事項。
「今年からは幸花の保護者分も、時期が被るんだよなぁ……」
昨年はまだ幸花は中等部だった為、高等部とは日程がずれており、特に問題はなかった。
だが今年からは高等部の為、幸花達一年生も龍矢が担当クラスを受け持っている二年生も時期は一緒だ。
つまり龍矢は、面談をする側と受ける側、両方を同一時期にしなくてはならない事になる。
「最悪時間外だな……」
ま、いいか。
どうせ担任アイツだし。
そんな事を思って、龍矢は三者面談が楽しみになる。
直樹はまだ、幸花の保護者が龍矢だという事を知らない。
勿論それは、幸花が向日の前社長令嬢という事を隠す為でもあるのだが。
はてさて。
一体どんな顔をするのか。
それを想像して、龍矢は一人、ほくそ笑んだ。