夏休みや冬休み等の長期の休みは、学生にとっては嬉しい限り。
だけどそうとも言っていられなくて……。
≪宿題≫
【咲の場合】
「咲。宿題、進んでるか?」
そう言ってきたのは直樹だ。
「はい。ちょっとずつやってますよ?」
「休み明けの宿題提出の時に、出来てません、なんて聞きたくないからな」
「……流石にそれは報復が怖い……」
思わず咲はボソッとそう言ってしまい。
「何か言った?」
それを聞きつけた直樹が物凄くニッコリと笑って言う。
直樹さん、目が笑ってません……。
「あ、あの!分からない所とか教えてもらっていいですか!」
何とか話題を変えようと、咲はそう言う。
「いいぜ?但し……やる時は俺の家でな」
「あぅ……」
咲は、初めて直樹の部屋に行った時の事を思い出した。
まさか。
またあの時みたいに、間違えたら耳にフッと息を吹きかけて。
正解ならキス、という事をするんだろうか……?
恐る恐る直樹を見ると、そんな咲の視線に気付いたのか、爽やかな笑顔で言う。
「勿論、この前みたいに罰ゲームとご褒美付きな」
「……自分で頑張ります」
思わず目を逸らした咲の耳元で、直樹が囁く。
「遠慮するな、咲」
「っ……」
結局咲は直樹に押し切られる形で、宿題の大半を直樹の家で終わらせる羽目になった。