夏休みや冬休み等の長期の休みは、学生にとっては嬉しい限り。
 だけどそうとも言っていられなくて……。


【幸花の場合】


「龍矢さん、あの、ちょっと聞いてもいい……?」
「ん、何?幸花」
 夕食の後のちょっとした時間。
 二人でソファに座ってテレビを見ている時だった。
「宿題って、やっぱり手伝ってもらう訳にはいかないよね」
「休みの間に出された宿題?まぁそれは、本人の為だしね。どうして?」
「えと……ちょっと分かんないトコがあって……でも、自分でやらなくちゃダメだよね」
 そう言って苦笑する幸花に、龍矢はニッコリと微笑む。
「確かに自分でやらなくちゃダメだけどね。ヒントを出すぐらいの手伝いなら、大丈夫だよ」
「本当に?ありがとう、龍矢さん!」
 嬉しそうに微笑む幸花に、龍矢がどこが分からないのか聞くと、彼女は宿題を自分の部屋から持ってきて広げた。
「他の教科なんだけど……」
「数学以外でも大抵は大丈夫だよ。教科書見せてくれる?」
「あ、うん。今、ここやってるの」
「どれどれ……」
 そうして幸花は龍矢に分からない所を聞いて。
 コツコツと宿題を進めていった。


「もうすぐ休みも終わりだけど、宿題の方は平気?」
「うん、もう殆ど終わらせたよ。龍矢さんが教えてくれたおかげ」
「そうかな。俺はそんなに手伝った覚えはないけど。幸花が頑張ったからだよ」
 龍矢の言う通り、幸花が分からない所を聞いてきたのは本当に数える程だ。

「ね、龍矢さんが高校生の時は、宿題どうしてたの?」
 そう聞かれて龍矢は思い出す。
「俺?そうだなぁ……やっぱり少しずつコツコツと、かな。毎日やってれば終わらない量じゃないし」
「そっか。私と同じだね」
 そう言って幸花は、どこか嬉しそうに笑った。


 宿題は毎日コツコツと。
 そうすれば、無理なく自然に終わるから。