観覧車から降りてみると―― 一部顔が赤いような気がしないでもないが――皆それぞれご機嫌で。
当然朱夏と愁の事を心配していた四人は、内心それぞれホッとしていた。
その後は特に何事もなく、帰路に着いて、待ち合わせ場所だった駅で解散という時。
「そういえば、今何気なく気付いたんだけど」
突然朱夏がそう言い出し、何となく皆、嫌な予感がする。
「何?」
「智と愁は寮だから学園方面でしょ?後は同じ路線だけど、私と宗方は上りで璃琉羽と礼君は下り。それぞれ方向が同じじゃない?」
「……で、何が言いたいんだ」
嫌々ながらも愁がそう聞くと、朱夏はやはりとんでもない事を言い出す。
「それぞれ彼氏が送ってくより、方向が同じ人……」
「「「却下」」」
朱夏の言葉を遮るように、男三人が見事にハモる。
愁は不機嫌そうに。
礼義は慌てて。
緋久は呆れたように。
どうやら自分の彼女を他人任せにはしたくないらしい。
そうして。
「またトリプルデートしようねー」
そう言う朱夏の言葉に全員が溜息を吐いたのは。
……言うまでもない。
=Fin=
結局最後まで朱夏に振り回される五人。