自分でも驚くくらい、素直に言葉が出た。

『怜人は会社に行って、お仕事して?私は家の事して、怜人の帰りを待つのが仕事なんだから』

 なんて言って。
 恥ずかしくて思わずキッチンに逃げたら怜人が追ってきて。
 でも、何も言わないでいてくれたのは嬉しかった。

 ……同時に不安になった。
 急に素直になった私を見て、どう思ったんだろう、って。

 怜人は、キスだけくれてお仕事に行っちゃったけど。
 いつも髪や額にキスを降らす時と同じように、優しい瞳だった。

 ねぇ、怜人。
 もっと甘えてもいいの?
 貴方の前では素直になりたい。
 不思議。怜人といると、心が温かくなる。
 冷たい氷が溶かされるように、私の心も解れていくの。
 怜人は私の心のお日様。
 本当のお日様くらい、大切なの。

 そういえば、怜人は最初、私を猫みたいだと言った。
 成程。
 猫は日向ぼっこして眠るの、好きだもんね。
 だから安心するんだ。

「さて、お仕事しますか!」
 お日様に、喜んでもらう為に。