今やっと分かった。
謝らなくちゃ。
朱夏ちゃんに。
璃琉羽はすぐに朱夏に電話を掛ける。
『……もしもし』
出てくれた。
もしかしたら出てくれないかも、という思いがあったからホッとした。
「朱夏ちゃんごめん!あのね、私、やっと分かったの」
璃琉羽は、自分が気付いた事を懸命に伝える。
「宗方君が蒼君のフリをしてたんじゃない。初めから、蒼君が宗方君だったんだって。蒼君は、宗方君の本当の姿だったんだって」
そう、彼は私を騙してなんかいなかった。
悪いのは、私。
「……私、外見と噂で本当の彼を見ようともしないで決め付けてた。朱夏ちゃんは、彼の内面を私に見せたかったんだよね?」
勝手な決め付けで、彼も朱夏ちゃんも傷付けてしまった。
『璃琉羽……ううん。私の方こそごめん。自分の考えばっかりで、璃琉羽の気持ちまで考えてあげられてなかったかも』
「そんな事ないよ!私も、自分の事ばっかりで……朱夏ちゃんに、いっぱい嫌な思いさせちゃった……本当に、ごめんね」
『……謝らなくていいよ。皆、ちょっとずつすれ違っちゃっただけだから。多分、誰が悪い、なんてないんだと思うよ?』
朱夏のその言葉に、璃琉羽は泣き出してしまう。
『ほらほら、泣かないの。全く璃琉羽はしょうがないなぁ』
いつも通りの呆れたような朱夏の声。
璃琉羽は思わず泣き付いていた。
「……実はメール、さっき読んで……宗方君、も…メールしないって……っ!朱夏ちゃ……やだ、よぉ……どうしたらいいか……わかんな……っ」
すると電話口の朱夏は、ゆっくりと口を開いた。
『璃琉羽は、どうしたいの?』
今目の前に朱夏がいたら、きっと眼を見据えて言われているだろう。
まるで、諭すようなその言葉。
璃琉羽は思った事を口にする。
「……私、このままなんて嫌……ちゃんと謝りたいし、それに……」
すると朱夏は璃琉羽の言葉を遮るように言う。
『璃琉羽。それならどうするべきか、分かるわよね?』
「……うん」
明確な答えを、貰った気がした。
『……よし、頑張れ』
「……うんっ!ありがとう、朱夏ちゃん」
そう言って電話を切り、璃琉羽は宗方にメールをする。
時刻は夕方。
今から会うのは時間的にもう遅いので、明日学校で話がしたいと。