話はフォリシスが目を覚ます数時間前に遡る。


 敵の攻撃によって起こった爆風に吹き飛ばされた四人はここ、エバーラッサ近くの海岸に打ち上げられていた。

「ん……ここは……?」

 四人の中でいち早く目覚めたのはリムだった。
 リムが周囲を見渡すと、幸い、全員近くに倒れていた。

「皆さん、大丈夫ですか!?神無さん!ラティスさん!……フォリシスさん!」


 マリノスが近くを通りかかったのは、そんな時だった。
「どうかしたのかい?」
 そう声を掛けられ、リムは状況を説明する。
「あ、あの私達、大賢者様の北東の孤島にいて、敵が爆風で……気付いたらここに!」
 だか、かなりパニック状態で上手く説明できない。
「……落ち着いて。とにかく彼等を運ぼうか。それでいいかい?」
「……はい」

 そうしてマリノスが、二人で運ぶのは無理だから、と人を呼びに行こうとした時、神無とラティスが目を覚ました。
「……ココ何処?」
「ん……あー。何か暑ィなココ……リム、そいつ誰?」
 防寒具を脱ぎながらラティスはマリノスを見、神無も言葉につられてそちらを見た。
 するとマリノスは素早く神無の傍に行き、その肩に手を掛けた。
「何か大変な事があったようだね。それよりまず、この防寒具は脱いだ方がいい。濡れているし、何よりこの常夏の島では不要だ」
「はぁ……」
「申し遅れて済まない。俺はマリノス。キミの名は?素敵な人」

 何だろうこの人。
 上手く言えないけど、何か……変。

 そう思って神無が呆気に取られていると、ラティスが突然マリノスを足蹴にした。
「テメェ、神無から離れろ」
「何するんだ君は!?こっちはたまたま通りかかって助けようとしていたのに、失礼だな!」
「助ける気あんならそんな事してないで街まで案内しやがれ!」

 今にも掴み掛かって喧嘩しそうな勢いの二人を止めたのは神無だ。
「はいそこまで!二人でフォリシスを運んで街まで行く!……それとも私やリムに運ばせる?」
「……そんな事、女性にさせる訳にはいかないよ……ほら、運ぶぞ」
 ラティスは何事かブツブツ言いながらフォリシスの足を持ち、マリノスが肩の辺りを持って運んで。


 そうして今に至る訳だ。
 ちなみに今いるのはマリノスの家だ。


 取り敢えずその日はそのままマリノスの家に泊めて貰う事にして。
 フォリシスは地図を広げる。
「えっと……今がココですね。それで、これからどうするか、ですね……」
「宝珠探し、だよね。七つに分かれた珠がドコに飛び散ったか……目撃情報探さなきゃかな」

 そう考えると気が重い。
 何せ十五年も前の話だ。当時の事を憶えている人を探すだけでも苦労は目に見えている。