「……やっば……やり過ぎ……?」
しかし、そんな心配は杞憂に終わった。
一瞬炎が渦巻いたかと思うと、再びファイアスティがその姿を現した。
汝らの力、確かに見せて貰った。我は汝らを、認めよう。そして……我が火の加護を、お主に
そう言ってファイアスティが指し示したのは、マリノスだった。
「お、俺……?」
いかにも。真っ先に飛び出したお主が一番気に入った。……激しき炎、火の加護を与える!
次の瞬間、火の珠はマリノスの胸元でペンダントになった。
期待しているぞ
ファイアスティはそう言いながら姿を消す。
「これで二つ目だね」
神無がそう言い、ラティスとマリノス、二人のペンダントを見比べる。
「……」
「どうかしたかい?神無」
見比べる内に表情の変わった神無に、マリノスは笑顔で聞く。
「……何か、恋人同士がするお揃いのペンダントみたい……」
それを聞いて、マリノスの笑顔が凍りついた。
「やめてくれ、気色悪い……っ!」
心底嫌そうに、真剣にそう言ったのはラティスだ。
フォリシスは溜息を吐き、リムは苦笑している。
「やだなぁ、冗談だよ。それに、後五つは増える予定なんだし。ね?」
神無は明るく言うが、ラティスとマリノスのダメージは大きい。
そんな事を言っていると、不意にリムが険しい表情になる。
「……?皆さん。何だか段々、暑くなってきていると思いませんか……?」
言われてみれば、確かにそんな気がする。
するとラティスがハッとして、水の珠に触れた。
「タイムリミットだ!ウォーティスの加護が弱まってる。早く外へ!」
その言葉に、五人は急いで外へと急いだ。
ボルゲイ洞窟を出た所で、また魔人に遭遇するのでは、と思われ、十分警戒しながら外へと出る。
しかし魔人は現れず、それは杞憂に終わった。
キャデスレットへと戻り、旅に必要な物を買い揃え、十分な休息をとった神無達は、次の目的地、マニュファダスへと出発する。
マニュファダスへは徒歩だ。砂漠を越えて、ニ〜三日も歩けば着くという。
「マニュファダスの事なら俺に任せてくれていいよ。あそこは何しろ、俺の故郷みたいなものだからね。案内するよ」
火の加護を与えられたばかりという事もあり、マリノスは調子付いていた。