街に戻った一行は、宿で話を再開する。
あれでもない、これでもない、と話しながら、なかなか結論には至らない。
「そもそも光と闇の意味は?一緒にいるって事なんだろうけど」
「光と闇は表裏一体。そこに何かあるとは思うんですけど……」
「魔術的に言えば、昼と夜を表しますが……何かありましたか?」
だがそう簡単に出てくるものではなく。
完全に答えに行き詰ってしまった。
「……あ、そういえば」
と、それまでジッと考えていたラティスが声を上げる。
「何?」
「聞いた事がある。昼と夜が同時に存在する場所」
ラティスの言葉に、全員が反応する。
「本当ですか!?」
「嘘じゃないだろうね?」
「はぁ!?何でそんな……」
怪訝そうにマリノスが言って、ラティスは不機嫌になり、マリノスに掴みかかろうとする。
だが。
「ラティス。聞きたいな、その話。聞かせて?」
二人の間に割って入って、神無はラティスに笑いかける。
「……分かったよ」
渋々ながら話し始めるラティスに、リムとフォリシスは二人の将来を垣間見た気がした。
(神無さん……ラティスさんの扱い上手いですね……)
(これは絶対、将来尻に敷かれますね)
そんな風に思われたとは露知らず、ラティスは話し出す。
「確か、極地の方で、夜でも太陽が出てて、一晩中薄明かりが続く場所があるって聞いた事がある。……白夜って呼ばれる現象だったと思うけど」
「白夜ですか……それなら僕も知っていますけど……白夜になる時期が決まっていて、今はその時期ではないんですよ」
振り出しに戻るその言葉に、全員落胆する。
「けどさ!他に手掛かりもないし、行くだけ行ってみよーよ!」
「そう……ですね。考えてたって何も始まりませんし、行く価値はあるかもしれません」
そうして早速地図を広げ、場所を確認する。
「……お師しょー様の孤島がこの辺りで……ここがインセールド。白夜はもっとこっちの、この辺りだと聞いています」
フォリシスは一瞬辛そうな表情をするが、すぐに頭を振って気を取り直し、説明を続けた。
「地図上では北西ですが、ここからだと北東に行った方が早いでしょうね」
「じゃあもう遅いし、今日はゆっくり休んで、明日出発って事で」
そう言って、その日はもう休む事にした。
次の日、ウィンディアの背に乗り、五人は目的の場所へ行く。
「……特に何もない所ね……」
その場所には、白夜を見に来る人の為だろうか、小屋がいくつか建てられていたが、時期外れの為、今は誰もいない。
「ここに来れば何か分かるかもと思ってましたが、後は自力で探すしか……」
だが、これといって洞窟なども本当に何もない。
「こちらではないようですね」
「一度、近くの街に戻るかい?」
結局何も見つからないまま、一度出直そうという事になった。