すぐにテラスに出ると、ウィンディアの背に乗り小島に向かう。
だが、小島のほぼ上空に差し掛かった時だった。
「!」
まるで、ガラスが砕けるみたいに、光の柱が粉々になって消えたのだ。
「姉様の結界が……破られた……」
「ウィンディア、急いで!」
承知しました
愕然とするリムに、神無はウィンディアを急かすと、ウィンディアは物凄い勢いで急降下した。
そうして、小島に降り立った全員が見たモノ。
それは、ボロボロになって倒れている女性と、顔を歪めて笑って立っている一人の男の姿だった。
「――っ姉様ぁ!」
リムは悲痛な叫び声を上げながら女性に駆け寄り、抱き起こす。
幸い気絶しているだけのようだ。
「ここまでよ、虚無……覚悟!」
リム以外の四人は、虚無を囲んで一斉に攻撃を仕掛けようとする。
だが次の瞬間、四人はいとも簡単に衝撃波に吹き飛ばされてしまった。
『邪魔をするなっ!……さぁ、今こそ天鏡よ、開け……!』
虚無はそう言って両手を天に掲げる。
すると、月光が湖全体に降り注ぎ、呼応するかのように水面が輝き始めた。
「これは……」
そうして、月光と湖の輝きに包まれた小島の、その中心に立っている虚無の眼前に、八角形の鏡が二枚現れた。
鏡は、一枚は大地に、もう一枚はその上空に浮かび、合わせ鏡になる。
すると鏡の間で空間が歪み、渦を作り出した。
『天鏡が開いた!古の民め、今こそ積年の恨み、晴らしてくれる……!』
そのまま虚無が渦の中に入ろうとするが。
「待て……っ!誰が行かせるかよ!」
ラティスが鞭で虚無の動きを封じ、引き止めた。
『小癪な……』
虚無が手をかざすと、ラティスは再び衝撃波で吹き飛ばされてしまう。
「ぐ……ぅ」
『……そんなにも死に急ぎたいのなら、今ここで葬ってくれる……』
そう言って虚無が何かをしようとした時だった。
「!?」
それぞれ首から下げた宝珠が、光り輝き始めた。
『忌々しい光だ……我を再び封じようというのか』
虚無が怯んだのを見て、神無達はお互いに顔を見合わせて頷き合い、それぞれの守護精を呼び出す。
「……アーサム!」
「ヴォルティック……!」
「ファイアスティ!」
「ウォーティス、ライトーン!」
「ウィンディア!……ダークネスト!」
光と闇の試練の後、ライトーンとダークネストに関しては、守護は皆平等に受けているが、光の珠はラティスが、闇の珠は神無がそれぞれ持っていた。
とにもかくにも、七精が全て姿を現す。
その光景はなんとも壮観だ。