それから数日。
　今まで情報交換で収集した内容も利用して、適任と思える数名をピックアップしていく中で、面白い事に気付いた。
「……偶然とはあるものなんだな。よし、面白そうだしこの三人にするか」
　まぁ、断られたら別に他の人物にするだけだが。

　早速、その事を弓近に話す。
「弓近。面白い奴らを見つけたぞ」
　弓近がどういう反応を返すか、少し楽しみだ。
「面白い奴らって？」
「この三人だ」
　そう言って私は、簡単に纏めた資料を写真付きで見せる。
「若竹満月、山吹太陽、浅葱星……？」
　女の子一人と、男二人。
　まず特筆すべきは、その名前。
「……お前、完全に名前で選んでるだろ」
「面白いだろう？」
「月に太陽に星……天文学みたいだな。おまけに……こいつらの苗字、全部色の名前ときてる」

　そう、名前の方は言わずもがな。
　だが実は苗字にも共通点があって。
　若竹は明るい青みの緑系、山吹は絵の具にもよくある赤みの黄色、浅葱はごく薄い藍色(現在は薄い青緑を差す場合もある)。
　いずれも日本の伝統色。
　気付くかどうか……と思ってはいたが。
　やっぱり気付いたか。

「よく見つけてきたな」
「ま、ちょっと訳アリでな。さ、勧誘しに行こうか！」
　そうして私は弓近を連れて、この三人を生徒会に勧誘しに行く。


　三人を確実に引き入れる為には、やっぱり順序良く行くのがいいだろうな。
「まずは山吹から行くか」
　そうして呼び出した山吹太陽は、聞いていた通り、かなり個性的だった。
「何か用ですか？会長はん」

　物怖じしない態度に、明るい笑顔。
　その独特の喋り方は、幼少期からの環境で培われたもの。

「単刀直入に言えば、時期生徒会に入ってもらいたい」
「俺に!?いや〜でもいきなり俺に会長が務まりますかね？」
　言葉だけならともかく、表情を見る限りは満更でもなさそうだな。
「いや、会長は私が引き続きやる事にしたんだが……」
「ほんなら、俺を会長はんの右腕に!?めっちゃ光栄ですわ〜」

　ふむ。思っていたよりもお調子者というか、なんというか。
　私の隣に立つのは、弓近以外はありえないんだが。
　ま、でも本気で言っている訳じゃなさそうだし、いいか。

　そう思って、思わず苦笑しながら山吹に言う。
「残念ながら、副会長も継続だ。書紀と会計、どちらがいい？」
「なんや、そうですか……俺、字ぃ下手くそやしなぁ……じゃあ書紀っちゅう事で」

　普通そこは“会計”って答える所だろう!?

　……思わずそうツッコミそうになってしまったが。
　まぁ、会計の適任は他にいるから書紀を選んで欲しかったのが本音だ。

「いや〜字ぃ下手なんは確かなんやけど、俺、細かい計算とかめっちゃ苦手なんですわ」
　そう言って笑う山吹に、私もニッと笑う。
　彼が引き受けるなら、他の二人はもう決まったも同然だ。
「それじゃあ一人目は決まりだな。で、だ。浅葱を呼んで来てもらえると助かるんだが」
「星ですか？アイツもメンバーに？……会長はんも目ぇの付け所が違いますなぁ。分かりました、すぐに呼んできますわ」
「頼んだ」

　そうしてすぐにその場を立ち去った山吹を見送って、弓近が聞いてきた。
「山吹と浅葱って、友達なのか？」
「寮のルームメイトだ。浅葱も結構個性的な奴でな」
　そう言って浅葱の情報を思い出して、思わず笑った所で、山吹が戻ってきた。