十二月に入って、生徒会の方は何とか片が付いた。
 本来なら十二月いっぱいは生徒会業務の引継ぎがあるんだが、少々前倒しさせてもらって十一月中に終わらせたんだ。

 流石にセンター試験まで残り一ヶ月ちょいだし、マジで受験に本腰入れないとな。
 本当なら遅いくらいなんだが、普段から成績落とさないように頑張ってるから、一ヶ月集中すれば何とかなるかなって。

 それに星も自分の仕事を新メンバーに引継ぎしなくちゃいけないし。
 ……上手くコミュニケーションが取れてるといいんだが。
 まぁ、生徒会の方は週に一度くらいは顔を出すとして。
 今は将来の為に受験に集中だ。


 受験勉強は図書館でする事が多い。
 何故なら、琴音も一緒に勉強するから。
 互いの部屋で勉強って選択肢は俺にはない。

 だって両想いって分かったんだぞ!?
 大学合格するまでは幼馴染の関係のままって言われててもだな。二人っきりになったら意識しないでいられるか!
 勿論、絶対に手は出さないぞ?そのくらいの自制心はここ何年かで培ってきたからな。
 何より琴音に嫌われるような事は絶対にしたくないし。
 でもどうしても考えちゃうんだよ。大学合格後の二人の関係をっ。
 だから絶対集中できないね。
 ……その前に俺の家だとレトと二ーニャが騒ぐし、琴音の部屋には実は入った事ないんだよ、俺。

 その点、図書館なら公共の場だし、今の時期は特に空気が張り詰めてる気がするからな。
 気も引き締まるし、集中するにはもってこいだ。

「弓近。お前、試験いくつ受けるんだ?」
「いくつ、って……一応全部」
「ならいい」

 大学入試って、チャンスは一度じゃないからな。
 センター試験受けて、前期日程は複回数受験可能だし、中期、後期試験もある。
 まぁ、中期・後期試験の願書提出前には、センターとか前期分の合格通知が届くハズだから、受けなくてもよくなる可能性はあるけど。

「琴音は?全部受けるのか?」
「勿論だ。お前が受かって私が落ちたのでは、洒落にならないからな」
 ……それもそうだな。
 模試でずっとA判定だったやつが志望大学落ちて浪人、って話も聞くからな。
 俺も琴音も油断は出来ない。


 そんな調子で冬休みに入っても、ずっとセンター試験対策に過去問を解きまくって。
 お正月には近所の神社に二人で初詣に行って合格祈願して、御守り買って、絵馬を書いて、おみくじ引いて。
 おみくじは悪い結果じゃなかったから良しとしよう。
 それ以外はまたずっと勉強三昧。
 ……今までの人生の中で、ここまで勉強したのって初めてかもしれない。


 そうして迎えたセンター試験はまずまずの手応え。
 自己採点でも目立った間違いはなかったし、記入ミスなんかがない限りは多分大丈夫だろう。
「琴音、どうだった?」
「まずまずだな」
「じゃあ次は前期試験に向けての勉強かー」

 センター試験から一ヶ月も経たない内に前期試験があるから、今度は志望大学対策をしなくちゃならない。
 大学によって、出題傾向が違ったりするからな。
 赤本とかでひたすら勉強あるのみだ。

「もうすぐ学校も自主登校に入るしな」
「あー……学校行くのも、もうあと少しか」
 一月の終わりには学校は自主登校。
 二月に入ってすぐ前期試験があって、その結果によって、中期・後期試験を受けるかどうかが変わって。
「……あと少しだな」
「ああ」

 二ヵ月後には確実に結果が出ている。
 その事に俺は、言い表しようのない気分になった。