「取り敢えずお腹空いてるでしょ?何食べよっか」
手を繋ぎながら歩き出した二人は、近くのファーストフード店に入った。
注文を終えて席に着くと、礼義は早速疑問を口にする。
「でも急に智ちゃんからメールが来た時はビックリしたよ。どうやってあの二人を諦めさせたの?」
すると智はクスクスと笑いながら言う。
「あのね、朱夏と璃琉羽が協力してくれたの。これからもできるだけ、私達が二人きりになれるように、協力してくれるって」
「そうなんだ。何かあの二人には、色々お世話になってるなぁ」
思えば、今こうして自分達が恋人でいるのも、二人の言葉があってこそだ。
あの時二人がいなければ、自分達は付き合えていなかった。
「本当。じゃあ朱夏達が困った時とかは、今度は私達が力にならないとね」
「そうだね」
本当に、いつか二人の助けになれたらいいと思う。
「智ちゃん、この後どうする?近場でゲーセンとかだったら、今からでも結構楽しめると思うけど……」
本当はどこか行きたい所だが、今からでは移動だけで時間が潰れてしまうだろう。
事前に約束でもできていれば、色々と計画が立てれただろうが……。
「えっと……じゃあ一緒にプリクラ撮りたい。ダメ?」
「プリクラかぁ。そういえば、制服でデートって、もしかして初めて?」
ふとその事に思い至って礼義が聞くと、智は頷く。
「うん。いつもは放課後、私が部活だもん」
部活が終わるのはかなり遅い時間だし、智はそのまま敷地内にある寮へと帰る為、部活の後にデートする事はない。
「じゃあ決まり!行こっか」
「うん」
そうして二人はゲームセンターに行くと、早速プリクラコーナーに行く。
「ね、ね。どうせだからラブラブなの撮ろっか」
「う、うん」
照れたように頷く智に、礼義は頬を弛める。
あーもー。
可愛いな、智ちゃんは。
そう思いながら、礼義は智をハグしたり、後ろからギュッと抱き締める。
そうして出来上がったプリクラを見ると、二人共幸せそうな表情で。
「……でも最後にキスプリ撮るとは思わなかった」
そう。
恥ずかしそうに智が言った通り、礼義は一番最後のを撮る時、智の頬にチュッとキスをしたのだ。
「コレは恥ずかしくて誰にも見せられないよ……」
特に、あの兄と弟には絶対に見せられない。
もし見つかったら、タダじゃ済まないと思うし。
そう思って智は、悩んだ挙句、取り敢えず生徒手帳に挟んでおく事にした。
あの二人だって、わざわざ“生徒手帳見せろ”なんて言わないだろうし。
「智ちゃん、次、何やる?」
礼義に声を掛けられ、智は顔を上げてニッコリと微笑んだ。
「えっと、それじゃあ……」
そうしてUFOキャッチャーや対戦ゲームをして少し遊んだ後、二人はゲームセンターを出て、ウィンドウショッピングを楽しんだ。