それから何日かはメールと電話のやり取りだけで。
いい加減智ちゃんに逢いたいなー、と思っていた矢先だった。
友人からそのメールが届いたのは。
『お前彼女と別れたの?イケメン二人と並んで歩く彼女発見!』
その文面を見た途端、全身から血の気が引くのを感じた。
信じたくなくて、メールを送ってきた友人に電話をする。
「おいっ!あのメールマジか!?彼女をどこで見た!」
相手が電話口に出ると同時に、思わず怒鳴り付けていた。
『が、学園近くの表通りだけど……え、嘘、振られたとかじゃねーの!?』
「誰が振られるかっ!」
乱暴に電話を切って、礼義は表通りへと急いだ。
智の姿はすぐに見つけられた。メール通り、両隣に男が一緒で。
「嘘、だろ……」
彼女に限ってそんな事、あるハズないと思っていた。
ここに来る途中だって、男二人に無理に連れ回されているのだと、見つけたらどうやって助けようかと考えていた。
だが、その考えは見事に打ち砕かれた。
何故なら彼女は、とても楽しそうに笑っていたのだから。
正直、あの後どうやって帰って来たのかよく覚えていない。
メールの着信音にようやく我に返り辺りを見ると、既に日は暮れ、外は真っ暗だった。
メールの差出人は――愛しい彼女。
内容はいつも通りで。
それが酷く残酷なもののように思えた。
ただここ数日と違っていたのは。
『明日、逢えないかな……?』
という文が一番最後に付け加えられていた事だ。
別れ話でも切り出されるのかな。
ぼんやりとそう考えて、礼義は思わず自嘲的な笑みを漏らした。
次の日、重い足取りで約束の場所へと向かう。
いつもなら遅くても待ち合わせの10分前には着くのに、今日は時間ギリギリになってしまった。
正直言って別れ話なんて聞きたくない。
だからといってあの男達が何なのか、そのままにもしておけない。
いつも通りの彼女といつも通りのデート。
そんなの出来っこない。
男と歩いているのを見た時はショックで何も考えられなかった。
でも今はそれがすごく嫌で……。
その思いが礼義の足取りを極端に重くしていた。