「そこのお二人。ちょっとよろしいですか?」
デート中に突然、占い師と思われる人物に声を掛けられ、二人は足を止める。
その人物が言うには。
「お二人は別れた方が、お互いの為になると出ていますよ」
との事だった。
≪占い≫
【幸花&龍矢の場合】
言われた二人は、思わず顔を見合わせてしまう。
「えっと……」
「……忠告だけ、ありがたく受け取っておきます。行こうか、幸花」
「あ、はい」
そうして占い師から十分に離れた所で、龍矢はポツリと言う。
「別れた方が、お互いの為、ねぇ……」
すると幸花は慌てたように言う。
「龍矢さん……き、気にしちゃダメだよ!」
「ん?気にしてないよ」
立ち止まって、ニッコリと笑って言う龍矢に、幸花は首を傾げる。
それに気付いた龍矢は、笑いながら言う。
「いい加減な内容だと思って。だってそうだろう?俺は幸花の後見人でもあるんだから」
「あ……」
「別れない方が、逆にお互いの為になる。そう思わないか?」
その言葉に、幸花もクスッと笑って同意する。
「そうですね」
幸花の場合。
龍矢の存在がなければ、簡単に向日の権力争いに巻き込まれてしまうだろう。
そうなれば、今のような普通の生活を送る事は出来なくなってしまう。
「俺は幸花から離れたりなんかしないよ」
「龍矢さん……うん、私も!」
そうして二人は、また歩き出した。