「そこのお二人。ちょっとよろしいですか?」
 デート中に突然、占い師と思われる人物に声を掛けられ、二人は足を止める。
 その人物が言うには。
「お二人は別れた方が、お互いの為になると出ていますよ」
 との事だった。


≪占い≫


【桃花&凍護の場合】


「……行こ、凍護君」
「そうだな」
 占い師の言葉を聞くなり、二人は揃って不機嫌そうな表情になり、早々にその場を離れた。

「もー!何アレ!あんな事を言う為に、人の事足止めしたの!?」
「本当、腹立たしい」
「そうだよね!?私と凍護君が別れた方がいい、なんて〜!」
 怒ったようにそう言う桃花に、凍護は笑みを浮かべる。
「?凍護君、どうしたの?」
「いや……もしかしたらあの人、ワザとあんな事を言ったんじゃないかって思って」
「ワザと?何ソレ、そうだったらすっごく性質悪い!」
「だからさ、俺と桃花の仲が凄くラブラブに見えたから、それで嫉妬したんじゃない?」
 凍護の言葉に、桃花は機嫌を良くする。
「え〜?それって、私達の事が羨ましかったって事?」
「だって俺達、どこからどう見たって、“別れた方がいい”なんて雰囲気じゃないだろ?」
「うんっ。私、凍護君と一緒にいられて、凄く幸せだよ?」
「俺も。桃花にはずっと俺の隣にいて欲しい」
 そうして二人で顔を見合わせて笑みを浮かべると、先程よりも一層ラブラブな雰囲気を周囲に撒き散らした。