side:SAKU

「三者面談……どうしよう」

 咲は県外から受験して、今は直樹の実家に下宿生活中だ。
 三者面談ともなると、親にこちらに来てもらわなければならなくなる。

「う〜ん。電話で都合のいい日、聞かなきゃなぁ……」

 下宿先の居間で三者面談のお知らせの紙と睨めっこしながらそう呟いていると、下宿先のおばさん――つまり、直樹の母親が話し掛けてきた。
「あら咲ちゃん、何の話?」
「あ、おば様。いえ、三者面談が今度あるので……」
「そうなの?それじゃあ私が行ってあげましょうか?」
 その提案に、咲は喜ぶ。
「え、いいんですか!?」

 咲の両親は共働きで、平日にわざわざ時間を割いて来てもらうのは大変だろうと思っていたからだ。

「じゃあちょっと電話しなきゃね」
「ありがとうございます」

 この時の咲は、これがどういう事になるのか、まだ分かっていなかった。