夏休みや冬休み等の長期の休みは、学生にとっては嬉しい限り。
だけどそうとも言っていられなくて……。
【桃花の場合】
「ねぇ、凍護君。宿題って終わった?」
まだ宿題の終わっていない桃花は、少し気になってそう聞く。
「あー……まだ。前半は部活が忙しくて、いつも休みの後半になってから、宿題の追い込み」
「そっか。良かったー」
「良かった?」
「うん。私も部活が忙しくて、まだ全然終わってないから」
「まぁでも、もう休みも半分過ぎてるし、本格的に取り掛からないと」
「そうだよね……私、実はいっつも宿題最後まで溜めちゃって、いつも最終日近くは大変なんだ」
「俺もだよ。部活に集中しちゃうと、いつも疲れて帰るからそのまま寝ちゃったりして。気付いた時には休みも殆ど残ってなくて」
似たような境遇に二人は思わず苦笑して。
「今までは、久兄と一緒に宿題片付けてたんだけど……今年は桃花がいるし、一緒に宿題する?それで、終わったらデートしよう」
凍護の提案に、桃花はパッと顔を輝かせ同意する。
「うんっ、する!」
そうして二人はお互いの家を行き来しながら、分からない所を教えあって、宿題を終わらせていった。
「……終わったぁ!」
「お疲れ様。でも、やっぱり目標持って誰かとやると捗るね」
「うん。最終日前に宿題終わったのって初めて」
「じゃあ、これで何の気兼ねもなくデートが出来るね」
デート、という言葉に反応して、桃花は嬉しそうな顔をする。
「約束だったもんね。まるでご褒美みたい」
「だね」
目標を掲げても、一人では挫折してしまう事もあるから。
誰かと一緒が、一番いい。