夏休みや冬休み等の長期の休みは、学生にとっては嬉しい限り。
 だけどそうとも言っていられなくて……。


【璃琉羽の場合】


「璃琉羽。そういえば、宿題ってどうしてる?」
「緋久君、どうしたの?突然」
 思い出したようにそう言う緋久に、璃琉羽は首を傾げる。
「いや……休みの前半は俺、部活で忙しかっただろ?それは毎年の事なんだけど……いつもは凍護と一緒にやってたのが、アイツ今年は彼女と一緒にやるからって」
「振られちゃったんだ」
 クスクスと笑う璃琉羽に、緋久は少し頬を赤くする。
「笑うなよ……で、璃琉羽が宿題終わってないなら、一緒にやろうかなって……」
「いいよ」
「え、いいの?」
 即答した璃琉羽に、緋久は思わず聞き返してしまった。
「……緋久君て、一人じゃ宿題進まない派?」
「まぁ……どちらかといえば」
「えへへ、実は私もなの」
「璃琉羽も?」
「家で一人でやろうとすると、どうしても捗らなくて。ついつい自分を甘やかしちゃうみたいなんだ」
 そう言って苦笑する璃琉羽に、緋久も苦笑しながら言う。
「それは俺も分かるよ。ちょっとだけ休憩、とかって。他に誰かいると、相手に遠慮して言えないからその分、捗るんだけどな」
「だよねぇ。それに誰かと一緒だと、教えあったりとか出来るし」
「……俺の場合、凍護は一つ下だから教えるばっかりだったなぁ……」
「じゃあ、今年は教えあいっこ出来るね」
「そっか……そうだな」


 分からない所は、出来れば自分で調べる方がいい。
 でも、誰かと教えあえれば楽しいし、そっちの方がお互いの為にもなる事はあるから。