トリプルデート当日。
待ち合わせ場所に一番早く着いたのは朱夏だった。
余程楽しみだったらしい。
「さーて……誰が早く来るかなー♪」
程なくしてやってきたのは礼義だ。
「あれ?朱夏さん、奇遇ですね。朱夏さんも待ち合わせですか?」
「まぁね……っていうか、本当は智と璃琉羽と示し合わせてたりして」
「え……?」
一瞬礼義の表情が固まる。
と、丁度そこに璃琉羽がやってきた。
「あ、朱夏ちゃんに礼君、おはよっ!礼君て来るの早いんだぁ」
「おはようございます、璃琉羽さん。……それで、示し合わせたって何で……?」
礼義は少々困惑気味に二人に聞く。
「それぞれの彼氏達には内緒でトリプルデートを企画したのよ」
「トリプルデート……っすか……」
礼義は苦笑しながらも、妙に納得した表情で。
「どうかしたの?」
「あ、いえ。どうりで今日のデートの話をした時の智ちゃんの様子がおかしかったなと」
「あー……隠し事、あんまり得意じゃないからねー、智は」
朱夏の意見に、璃琉羽もうんうんと頷いた。
一方その頃。
当の智はというと、一人でテンパっていた。
(ど、どうしようーっ!)
というのも、寮を出るタイミングが愁と一緒になってしまったからだ。
智はなるべく気付かれないように、愁から距離をとって歩いていた。
そうして待ち合わせの駅に着いて、智は意を決して少し小走りに改札まで行く。
「うぅ……下手に気付かれないといいんだけどなぁ……」
何せ目的地は一緒なのだから。