「ちょっと宗方!あんたいつの間に来たの!?」
 見るとそこにはいつの間にか緋久が来ていて。
「ついさっき」
「……だからいつ」
「そっちの彼が、もしかしたら璃琉羽の彼氏かも〜の辺り」
 どうりで今までずっと璃琉羽が何も言わなかった訳だと、思い返して納得する。
「悪いけど璃琉羽は俺の彼女だから。例え、もしもの話でも、変な事言わないで欲しいね」
 緋久はそう言って璃琉羽を抱き寄せる。
「緋久君、ヤキモチ妬いてる?」
 何となく甘くなった二人の雰囲気に、朱夏は呆れる。
「はいはい、ごちそーさま。さて、これで全員揃ったわね」
 その言葉に愁が怪訝そうな顔をする。
「朱夏……お前、何企んでる?」
「どうせ三組同じ時間に同じ場所で待ち合わせって仕組んだんだろ」
 まだ朱夏の計画の内容を知らない愁と緋久に、朱夏はニヤリと口の端を上げる。

「今日はこのメンバーで、トリプルデートをしたいと思いまーす!」

「……は?トリプルデートだぁ?」
 案の定、明らかに不満そうな声を出したのは愁だった。
「お前何考えてんだよ!?」
「言ったままの事」

 朱夏と愁が言い争いを始めた横で、それぞれカップル同士で話し始める。
「璃琉羽は知ってたんだよな?何で言わなかったの?」
「だって……反対されると思ったから……」
「本当は嫌だけどね。でも、璃琉羽がしたいって言うなら、ちゃんとOKしたよ?」
「緋久君……」

 そうしてもう一組はというと。
「ごめんね、礼君。嫌、だった?トリプルデート」
「智ちゃんがいいなら俺はいいよ。全員月羽矢生でしょ?智ちゃんのまた違った一面が見れるかもしれないし」
「礼君……ありがと」
 と、二組とも何だかいい雰囲気だ。

 だが。
「バカじゃねーの?トリプルデートなんて。何で折角のデートに他人が一緒なんだよ」
「バカって言わないでよ!何よ、それが楽しいんじゃない。何も親兄弟とか、相手が誰もいないような友達連れて行くわけじゃないんだから!」
 と、収まる様子を一向に見せなかった。