六人がやってきたのはデートの定番スポットの遊園地。
 園内フリーパスを買って、まずは地図を見る。
「まずドコ行く?」
「んー……取り敢えず端から順番に回る?」


 そうしてまず行ったのは『お化け屋敷』。
「……ね、ねぇ朱夏、やめない?」
「やめない。さ。行こ!」
 多少嫌がる素振りを見せる智だったが、結局朱夏の勢いに押されて中に入る。

 そうして数分後。
「……」
「智ちゃん、大丈夫?」
 智の顔は青ざめ、言葉もない状態で。
「……あそこのベンチで少し休もっか。じゃあ、次に乗るの決まったら教えて下さい」
 礼義はそう言うと、智を促して皆の輪から離れた。

 ちなみの他の二組の反応はというと。
 璃琉羽は多少怖がり、終始ずっと緋久の腕にしがみ付いていた。
 朱夏に至っては、「ま、遊園地ならこの程度よね」と、さして怖がりもしなかった。
「朱夏……お前さぁ、嘘でもいいからちょっとは怖がれよ……」
 女の子らしい反応とはおよそ縁遠い朱夏を見て、愁は溜息を吐いた。


 いくつかの絶叫系を乗り、次は『スペース・ショット』に決まった時。
「あ、私ここで待ってるから、行ってきて」
 そう言って璃琉羽が皆から一歩離れた。
「どうかした?立て続けに絶叫系乗って、気分でも悪くなったのか?」
 心配する緋久に、璃琉羽は首を横に振る。
「ううん。ただ、これだけは私、どうしても気分悪くなっちゃうからダメなの。だから心配しないで?」

 スペース・ショットは他の乗り物と違って、地上から一気に80m近い高さまで垂直に上昇する。
 そうしてそのまま上の方で下降と上昇を何度か繰り返し、無重力状態を体感できるアトラクションだ。
 璃琉羽はその無重力状態に、内蔵がせり上がってくる感じがして、気分が悪くなるのだった。

 そうして手を振る璃琉羽に、緋久も並んでいた列を離れる。
「じゃあ俺も」
「え……いいの?」
「璃琉羽一人じゃつまんないだろ?それに、一緒にいたいし」
「緋久君……ありがとう」
 最初は戸惑っていた璃琉羽だったが、緋久の言葉に嬉しそうに笑った。